最近は雨ばかり降っている。俺が行く場所ばかり雨が降っている気がする。雨が俺を濡らそうと付いてくる。

そういう人を雨男と言うんですか。俺は雨男ですか?

傘を持ち歩くようになった。邪魔だけどもう濡れたくない。身体の中は涙と血でずぶ濡れなのに、身体の外まで濡れなくていい。この先もっと辛くて悲しい事がいっぱいあるんだ。砂漠のようにカラッカラでいい。もしも雨で潤うならば、その時は傘を捨てよう。

傘は旅をする。コンビニの傘立てに置いたはずの傘を誰かが間違ってすりかわる。

傘は旅をする。卒業式が終わり彼女は置き傘をそのままにして帰った。一年後、知らない学年の知らないあの娘が持って帰った。

傘は旅をする。電車の中に持ち主のいない傘が手すりに掛けられたまま揺れている。降りるはずだった駅を過ぎて知らない街へ。

傘は旅をする。

君は何処にも行かないで窓の外を見ている。

白い雨が風景に突き刺さる

遠くに傘をさす人たちの

顔を見ることはなかった。

コメントを残す